当院の訪問歯科診療の特長
高齢者医療の専門知識を持つ「担当者」
訪問歯科診療では、多くの患者さんが高齢であり、介護が必要、または障がいをお持ちである場合が多く、一般の歯科治療とは異なる専門知識と経験が必要です。
高齢に伴い虫歯や歯周病のリスクが増加し、自己管理がより重要となりますが、自力でのケアが難しい場合、家族や介護施設の支援も限界に達することがあります。
こうした背景を考慮し、当院では高齢者医療に詳しい歯科医師を核とするチーム医療を用いて訪問歯科診療を展開しています。
患者さんのご自宅だけでなく、以下の施設へも積極的に訪問し、包括的なサポートを行っています。
- 精神病院
- 特別養護老人ホーム
- グループホーム
- 社会福祉法人施設
「誤嚥性肺炎」のリスクを軽減
高齢者の場合、「誤嚥性肺炎」のリスクが顕著に高まります。細菌を含む唾液が誤って気管や肺に入ることで発症する病態で、注意が必要です。
さらに、誤嚥性肺炎は一度発症すると、再発の度に重症化しやすいという特徴を持っています。
日本では90歳以上の死因で「肺炎」が2位にランクインしているほど、誤嚥性肺炎は生命に直接影響する重大な病気です。このリスクを低減するためには、口腔内を清潔に保ち、嚥下機能を強化するトレーニングが非常に重要です。
コラム恐ろしい「歯周病」
歯周病は成人の約8割が罹患しているとされ、放置すると深刻な問題を引き起こす可能性があります。この一見身近な病気が、全身の健康にどのように影響するかを詳しく解説します。
歯周病になると、歯を支えるあごの骨が徐々に減少し、抜歯のリスクが増加します。また、歯茎の充血や膿の発生、そして口臭の原因にもなり得ます。最新の研究では、これらの歯周病が心臓病や糖尿病などの全身疾患と関連していることが確認されており、その影響は単なる口内だけに留まらないことが明らかになっています。
歯周病や虫歯が進行すると、口内の傷口から細菌が血管内へ侵入する可能性があります。健康な状態では免疫系がこれを防ぎますが、高齢者や免疫力が低下している方では細菌が十分に排除されず、血管を通じて全身に拡散するリスクが生じます。
この状態になると、発熱や倦怠感、全身の炎症を引き起こすリスクが高まり、最悪の場合、脳梗塞、心筋梗塞、心不全など生命を脅かす病気へと進行することがあります。そのため、免疫力を強化し、歯周病の予防と適切な口内ケアが非常に重要です。
訪問歯科診療の対象者
要介護状態や障がいがあるために歯科医院への通院が困難な方
治療費
当院の訪問歯科診療では、クリニックでの治療と同じ費用がかかります。各種保険の適用が受けられます。
後期高齢者医療制度・介護保険を利用する場合
所得に応じて、患者さんの自己負担割合は1割から3割となります。1か月あたりの医療費の自己負担額の上限は、個人または世帯主の所得額に基づいて設定されます。月内に発生した医療費の合計がこの上限を超えた場合、超過分については「償還払い制度」を通じて、市町村から払い戻しが行われます。
国民健康保険・社会保険(企業加盟の健康保険)を利用する場合
原則として、患者さんは医療費の3割を自己負担しますが、所得額に基づき、1か月あたりの自己負担上限額が設定されています。この上限を超える医療費については、国民健康保険加入者は後期高齢者医療制度と同じく償還請求を行うことができます。社会保険加入者の場合、事前に「高額医療費適用認定証」を取得することで、設定された上限額を超える支払いを免除される仕組みがあります。
身障者の場合
診療は無料で行いますが、これは「心身障害者医療費助成申請書」を自治体に提出している方に限定されます。地域によっては一部立替払いが必要な場合があり、その際は後日自治体からの返金が行われます。また、地域によっては有償となるケースもありますので、診療を希望される場合は事前にご連絡をいただき、ご確認ください。
※介護保険:在宅における口腔ケアは適用。
※出張費および謝礼等は一切いただきません。
対応可能なエリア
当院では、16km以内のご自宅、病院、施設まで訪問診療を行っております。
訪問診療の流れ
STEP①お問い合わせ
当院にお電話いただき、患者さんの症状やご要望をお聞かせください。その情報を基に、患者さんのご自宅や施設への訪問日程を調整いたします。お電話には、当院の訪問治療担当の衛生士が対応させていただきます。
【電話番号】03-6804-4404
STEP②ご自宅・施設へ訪問
ご予約いただいた日時に、当院の訪問チームが患者さんのご自宅、または老人ホーム、病院などの施設へお伺いします。
STEP③カウンセリング・ご相談
患者さんやご家族の方に問診票をご記入いただき、詳細な情報を伺います。その後、治療内容についてしっかりとご説明し、ご理解と同意を得た上で、ご希望の方にのみ治療を開始いたします。
STEP④治療
診療の際は、患者さんがリラックスした状態で受けられるよう配慮し、「寝たまま」や「車椅子に座ったまま」など、患者さんの楽な姿勢で対応いたします。口内の全体的な健康状態を確認した上で、必要に応じて治療や口腔ケア、嚥下訓練などを行います。